理事長あいさつ

戦後、世界を二分し続けた米ソ冷戦の時代が終結し、30年ほど前から新たな潮流となった《グローバリズム》。この地球規模の市場主義経済活動はユーロ導入やTPPなどの動きを織り交ぜながら、今も世界に広がりつつある。地球上のある地域で起きた小さな経済活動が、大きなうねりとなって世界に広がる時代になった。
これまで日本国内の市場の中で生き残ってきた企業も、今や世界の動きを無視できない。いつ何時海外企業との競争にさらされるか分からない時代なのである。

しかし半面、文化や思想、風習、生活習慣などは今も各国や民族によってさまざまに異なる。これを《グローバリズム》の名のもとに均一化していく動きは、かえって多くの問題や武力衝突を引き起こす要因となる。異なるものを認め、理解し、尊重しあう意識が求められ、『経済面のグローバリズム』と『文化・思想面のローカリズム』の調和を図る継続的な努力が、21世紀の世界を発展させるカギとなる。
このようなときに必要とされるのが《真の国際人》である。
《真の国際人》とは、自国とその地に生まれ育った己に適切な誇りを持ち、自国と世界の両方の歴史や思想、文化、根底に流れる意識(精神基底)に精通している。そして諸外国の人々と深いレベルでコミュニケーションを図ることができ、大局から物事を判断していくゼネラリストである。さらに、どのような環境下でも生き抜ける強靭な肉体と精神を有する。これらの資質を兼ね備えた人物が《真の国際人》と言えよう。

このような人物は、今の日本にどれだけ存在するであろうか。
日本は70年前に大東亜戦争(太平洋戦争)で敗北し、GHQの占領政策の元、古来より脈々と受け継がれてきた素晴らしい文化や歴史が消されてしまった。特に日本の精神文化の一翼を担った武士道、武道などは否定され、その本質を失った。
さらに日本に息づく神道や仏教についても、多くの国民はほとんど知識がない。神社は祭りのときに行く場所、お寺は墓参りのときに行くところといったイメージしかなく、その精神文化の継承はほとんどなされていない。神道や仏教に基づく生活習慣は、初詣や七五三、お盆などとして残っているが、受け継がれているのは形のみであり、その背景や意義、目的を教わることはほとんど無い。

海外の人に「日本の文化について説明してほしい」「あなた宗教はなにか」「その習慣にはどんな意味があるのか」「武士道とはなにか」「茶道とはなにか」などと問われても、まともに答えることができなければ、日本のことを知らないことと同じであり、当然国にも誇りなど持てない。もし英語や様々な言語に精通していたとしても、このような人物は《真の国際人》とは到底言えない。
21世紀の世界をリードする一員として、日本と日本人には大きな役割を期待されている。この役割を果たすためにも、今こそ一人でも多くの《真の国際人》を育てていくことが急務となる。

『須麻比』を学ぶことにより、日本と世界の歴史や精神基底を知り、日本人の精神文化を取り戻し、困難な状況を乗り越える心身を育て、《真の国際人》の土台を構築させることができる。ここで学んだことを基礎に、世界での皆様の活躍を願う。

日本須麻比協会
理事長 浅野 弘治